サーバーの「スケールアップ」と「スケールアウト」とは?
Webサイトが稼働しているうちに、Webサーバーの容量や性能が不足してきたなと感じたら、より性能の高いサーバーへ移転をする前に、「スケールアップ」または「スケールアウト」という方法を検討することができます。ここでは両者の違いを解説します。
目次
スケールアウトとスケールアップの違いとは
サーバーの性能を上げる「スケールアップ」
スケールアップとは、サーバーの性能をアップさせることです。
ハードディスクの容量やメモリ、CPUの性能を上げるという意味です。一台のサーバーの中で、性能をアップさせることはすべて「スケールアップ」という言葉でまとめられます。
サーバーを使い続けてファイルが増えていくと、最終的にハードディスクが100%埋まってしまい、それ以上保存できなくなるのは、PCでもサーバーでも同じことです。そうなる前に、容量をアップしておくことが必要です。
また、CPUやメモリは、処理速度に関係する部分です。CPUやメモリも後から増やしたり減らしたりということができるので、性能的に心もとなかったり、処理が遅くなってきたなと感じた時に「スケールアップ」をしておきます。
なぜスケールアップする必要があるのか?
Webサイトに一度に多くのアクセスが集中すると、サーバーの処理が追いつかなくなって速度が落ち、最悪の場合、サーバーが止まってしまうということも起こります。そうなる前に、余裕をもってメモリやCPUのスケールアップを検討する必要があります。
たとえば、更新するデータ量が多いケース、ユーザーが急激に増えているケースなど、変化に応じてスケールアップが必要になります。
また、サーバーの運用保守に際しては、ハードディスクの容量が残り少なくなってきたときや、CPUの利用率が高くなり、サイトが遅くなってきていると感じたとき、スケールアップを提案・検討を行います。
サーバーの台数を増やす「スケールアウト」
一方、サーバーの台数を増やすことで対処するのが「スケールアウト」です。
2台、3台とサーバーを用意しておけば、処理を分散させることができるので、アクセスが集中してサーバーが落ちてしまうことはなくなります。瞬間的に対処したいというときに最適なのは「スケールアウト」です。
Webサイトの場合、一時的にアクセスが集中するということが多々あるので、普段は1台で運用しておき、アクセスが多くなると予想されるときだけ5台にスケールアウトしておくという手段をとることができます。
サーバー会社によっては「オートスケール」といい、アクセスが集中してくると自動的にスケールアウトが可能なサービスも利用可能です。サーバーをコピーして2台にし、自動的に最適化するというサービスです。
スケールアップとスケールアウトのメリットとデメリット
「スケールアップ」も「スケールアウト」も、増やしたり減らしたりという調整は可能ですが、どちらかというと、スケールアップの方がしやすいといえます。それぞれの長所、短所を検討してみましょう。
スケールアップのメリット:サーバー管理が容易
スケールアウトの場合、サーバー台数が増えるに従って管理の手間が増えるという欠点があります。
サーバーの内容に変更がない限りはそのままでよいのですが、運営を続けてページを更新したいということになったときに、スケールアウトしてサーバーが3台になっていれば、3台に同じ更新作業を行わなければならなくなる分、手間がかかります。
サーバーを複数台にすることは容易ですが、そのあとのコンテンツの管理は大変になるということが考えられるため、1台を更新したら、2台目、3台目にもコピーするシステムを別途作るなど、対応を考えておかなければなければなりません。
スケールアップはその点は全然意識する必要がなく、性能を増やした分だけ料金を追加するだけ済むので、更新が頻繁なサイトにはスケールアップの方がシンプルな変更で済みます。このため、スケールアップを選択するケースの方がやや多いといえます。
スケールアウトのメリット:サーバー停止に対応可能
一方、スケールアウトのメリットとしては、サーバーを複数台にしておけばもしも1台が故障した場合でもWebサービスが止まらずに済む、という点が考えられます。サービスの継続という点を重視するならば、スケールアウトを選択するというのも選択のひとつでしょう。
サーバーの品質保証
サーバーの品質保証制度SLA
そうなると今度は、サーバー1台の性能をアップするスケールアップが心もとなく見えてしまうのですが、スケールアップもそれなりに対応を打っています。それがサーバーの「品質保証制度」というものです。この保証制度は、Service Level Agreementの略でSLAと呼ばれます。
昔と違って、サーバーの品質は向上しているのでそうそう100%壊れたりはしません。一部だけ部品交換するなど、修理しながら使い続けていくものになっています。またサーバー会社では、どれくらいサーバーが稼働するのかを明示する「品質保証」を行なうようになっています。
たとえば、サーバー会社が「(月間や年間)99.99%稼働することを保証します」とうたっているとします。もし障害が起きたとしても1ヶ月に5分間以内の停止という意味です。
サーバーの品質保証は考慮に入れよう
このような品質保証があることによって、「1ヶ月に5分間の停止」が訪問ユーザー何人分に相当するかを検討し、許容できるかどうかを判断すればよいわけです。企業側も「その程度なら許容範囲。サーバーは1台で運用を簡易にし、性能をフレキシブルに変えられた方がいいね」といった判断になったりします。
逆に、そういう品質保証をうたっていないサービスは、部品に安価なものを使っていて、そのかわり安価にサービスを提供することができているわけです
稼働実績の高いおすすめのサーバー
WebARENAのVPS SuitePRO
Webサイト制作を行う弊社ITRAで推奨しているNTTPCコミュニケーションズのレンタルサーバーWebARENA®のVPS SuitePROでは、99.9%以上の保証をうたっていますが、実際の稼働実績は99.99%となっています。これは十分満足のいく数字といえます。
サーバー会社によってはこのように稼働実績をPRとして公開しているところもあるので、サーバーを1台のみで運用しようと考えている場合は、サーバー会社の公式ホームページの運用実績などを確認してみるといいでしょう。
WebARENA®の場合、VPSと呼ばれるサーバーのタイプで、スケールアップでは「SuitePRO」、スケールアウトでは「VPSクラウド」というサービスが用意されています。この2つの違いを理解して、どちらかを選んでいけばよいでしょう。
この記事の著者
ITRA株式会社
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