RFP(提案依頼書)とは?目次や入れるべき項目の書き方
RFPとは、Request For Proposalの略で、Webサイトを作成する際の「提案依頼書」のことです。RFPを作成して企業側のオーダーを的確にWeb制作会社に伝えることが、目的に合ったWebサイトを短期間かつ適正な予算でつくることにつながります。今回は正しいRFPを作成するにあたって、「全体概要」、「提案要件」、「補足ポイント」のRFPを構成する重要なポイントを3つに分けてお伝えしていきます。
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目次
- RFP(提案依頼書)とは
- RFPの目次
- RFP(提案依頼書)の構成要素1.全体概要
- RFP(提案依頼書)の構成要素2.提案の要件
- RFP(提案依頼書)の構成要素3.RFPに組み込むべき補足ポイント
- まとめ
RFP(提案依頼書)とは
Webサイトのリニューアルなどを発注するにあたって、企業のWeb担当者が最初に作成しなければならないのがRFPです。「提案依頼書」という呼び名の通り、発注するWeb制作会社を選定するために提案依頼をする文書です。Web制作会社の中にはRFPの作成から請け負う会社も存在します。
RFPは、システム担当者だけでなく、広報部門や経営層などさまざまな部署の意見をトータルにヒアリングしながらまとめる必要があります。しかし、そもそもRFPはどんなポイントを盛り込めばいいのか、そもそもRFPとは何なのかなど、悩める担当者は多いでしょう。弊社ITRAでもRFP作成のご依頼を受けることがありますが、担当者のさまざまな困りごとに対するご相談を受けています。そんな方々のために今回はRFPのポイントを簡単にまとめました。
RFPの目次
まず、RFPの目次の書き方としてはこのような項目が例として挙げられます。
- 目的
- 目標
- スケジュール
- 参加条件
- 予算感
- 提案を依頼する範囲
- デザイン案
- マルチデバイス対応の範囲
- 納品成果物
- システムの機能要件
- サーバーの機能要件
- 詳細見積
- 年間保守
- 運用の要件と見積り
- 制作・開発時の社内体制
- システム(CMS)の操作説明方法
- 会社案内と主な制作実績
- 参考サイト
- 注意事項
次に、この目次であげた項目について説明します。
RFP(提案依頼書)の構成要素1.全体概要
1.背景
どのような経緯でリニューアルなどの大きな変更に至ったかをRFPに書きます。 Webサイトのリニューアルには会社全体の意向が関わってくるはずです。「使い勝手が悪い」といった担当者当人の見解だけでなく、企業としてどういった背景でリニューアルをすることに決まったのか、正しくWeb制作会社へ伝える必要があります。
2.目的・目標
会社としての目的や目標をRFPに書きます。 会社全体の意向として、このWebサイトで何をするべきなのか、何を達成したいのかを考え、目的・目標を持ったうえでRFPを作成する必要があります。企業や組織のWebサイトの存在意義は一般的に1つではないので、複数の目的や目標が存在する場合がほとんどです。例えば以下のような点を提示します。
採用活動時に、学生に魅力的な企業だと感じてもらうため
クライアントから問い合わせが増えるようなWebサイトにするため
株主・投資家の皆さまに、正しい情報を迅速かつ丁寧に案内ができるWebサイトにするため
パートナー企業を増やしていくため
他にも、現在のアクセス数に対して、どれくらい数を増やしたい等の具体的な数値を掲載するという目的・目標の書き方もあります。
3.ターゲットユーザー
ターゲットと考えるユーザー像を出来るだけ詳細にRFPに書きます。(既存・見込み)顧客や取引先、社員、株主、新卒学生といったシンプルなターゲットを挙げてしまいがちです。しかし、Web制作会社に今回のプロジェクトの要点を正しく理解してもらうためには、優先されるべきだと考えている部分をより具体的なものにし、可能な限りターゲットを詳しくRFPに書くことで制作側に伝える必要があります。
4.スケジュール
Webサイト制作を依頼してから完成し運用するまでのスケジュールをRFPに書きます。 よく無理なスケジュールを提示しているRFPを提出する企業がありますが、実際に無理なスケジューリングによって困るのはWeb制作会社よりも、当のWeb担当者です。社内に回すためのチェック期間が足りなくなって、スケジュールが破綻するケースもよくあります。通常、例えば大手企業のコーポレートサイトを1つ作成するのには最低でも半年間は必要であると考えた方が良いでしょう。
確認を怠ったまま進めてしまうと、出来上がってきてから上司にNGを出されてどんでん返しが起こる可能性があります。そうなると、スケジュールが延びるだけではなく、Web制作会社から追加の費用を請求されてしまう危険性もあるので、十分に注意しましょう。
5.参加条件(任意)
「設立○年以上」「制作実績○件以上」などといった提案への参加条件をRFPに書きます。Webサイト制作は経験を積めば積むほど、プロジェクトの進行はスムーズです。設立が短く、実績の少ないWeb制作会社にお願いをしてしまうと、経験不足によりプロジェクトが失敗してしまう可能性もあります。
また、Web制作会社といっても、システム開発を主業務とする大規模な会社でデザインは得意でない場合や、反対にデザイン力はすばらしいがシステムやサーバー周辺は役不足というケースもあります。過去の実績をきちんと確認をした上で、今回のプロジェクトに必要なスキルを要しているWeb制作会社なのか確認しましょう。参加条件をつけるかつけないかは任意ですが、求めるWeb制作会社のスキルのミスマッチにならないためも、参加条件をRFPに書くことが得策です。
6.予算感(任意)
大まかな予算をRFPに書きます。 予算感は、社内的にある程度決めておくべきところです。必要としている内容に対してどれくらいの価格帯になりそうなのか、事前調査として調べておく必要もあります。注意しなければならないのは、見積もりの安さだけで業者を決めてしまわないことです。複数の御見積書に対して、1社のみ大幅に安価なものがあった場合は特に注意しましょう。制作に必要な人件費を大きく下回っていると、その制作に必要な内容を正しく把握していない可能性があります。
RFP(提案依頼書)の構成要素2.提案の要件
1.提案を依頼する範囲
どの部分をリニューアルするのか、提案を依頼する範囲をRFPに書きます。 企業サイトの中に複数のサイトが存在していることも多いので、どこまでをリニューアルの対象とするのかを明確にします。一番分かりやすいのはURLを掲載しておくことです。しかし、例えばそのURLの中に対象外の特設サイトが入っていた場合は、そうした注意事項もきちんと記載しましょう。複数社から不明な点について質問が来てしまうと、Web担当者に無駄な時間がかかってしまいます。
また、適切な提案や正確な見積書を出してもらうためにも、現行サイトの構成表をエクセルなどで書き出し、RFPの資料に添付することをオススメします。通常、リニューアルプロジェクトでWeb制作会社が提出する納品物に入っているため、前回のリニューアル時の納品データを確認しておくと簡単に構成表を手に入れることができます。
あまりにページ数が多い場合、システム的に全ページを吐き出すツールを利用するのも良いでしょう。例えば「Website Explorer」という無料のデスクトップアプリケーションは、URLを入れるだけで、そのURL内のページをすべて洗い出してくれます。サイト構成の洗い出しをする際に、ぜひ活用してみてください。昔から提供されているサービスなので、インターフェースは古いですが、非常にクオリティの高いツールです。
Website Explorer
2.デザイン案
特定のページのデザイン案の提出を求める旨をRFPに書きます。トップページのデザイン案と、一番アクセス数が多い下層ページ、またはこれから力を入れていきたいページなどのデザイン案の提出も求めた方が良いでしょう。Web制作会社と目的が共有されているか、提案がコンセプトに合っているかをチェックするために、また社内の上部への報告用にもデザイン案は必須です。
ただし、欲張って多くのページのデザイン案作成を依頼すると、Web制作会社への負担が大きくなるため、提案を辞退されてしまう懸念もあります。トップページのみか、またはもう1ページ程度が通常です。
3.マルチデバイス対応の範囲(ブラウザのバージョン等も含む)
希望するマルチデバイス対応の範囲をRFPに書きます。 マルチデバイス対応とは、PC・スマホ・タブレットに対する対応方法です。対応機種や対応方法によって制作費が大きく変わってきます。デバイスの対応と一緒にブラウザのバージョンまで伝えておいた方が良いでしょう。現行のWebサイトに入っているアクセス解析ツール(Googleアナリティクスなど)を使って、ユーザーの閲覧状況を把握することが大切です。
4.納品成果物
Webサイト制作完了後に提出を希望する書類をRFPに書きます。 Webサイトは作って終わりではなく、その後の運用こそが大切です。制作物だけではなく、その制作物に関する必要書類も提出してもらう必要があります。最低限必要なものは下記の通りです。
議事録(リニューアル時に行った打ち合わせの全議事録)
新サイトの構成表
新サイトの画面構成表(テンプレートページ分はできれば全ページ)
デザインデータ(編集のできるデザインデータ、つまりpsd、aiファイルなどすべて)
コーディングガイドライン(4のマルチデバイス対応をどこまで行ったかなどのルールが記載されている書類)
サイトデータ(納品時のHTML,CSS,JSや画像データなどすべて)
(システムが入っている場合)システム仕様書
(システムが入っている場合)システム管理画面操作マニュアル
(データベースが入っている場合)データベース定義書
(サーバーも提案してもらう場合)サーバー仕様書
5.システムの機能要件(セキュリティ対策含む)
どのようなシステムをWebページに取り入れたいかをRFPに書きます。 新たにどんなシステムを入れたいのか、要望を詳細にまとめる必要があります。既にお問い合わせフォームやCMSなどでシステムを使っている場合は、その概要もまとめましょう。リニューアルして以前よりも機能が退化してしまうと、使いにくくなってしまいます。もし、現状すでに使用しているCMSがあり、そのCMSをそのまま利用したいという場合は、その旨も記載しましょう。
CMSの機能要件に関しては、エクセル等でRFPとは別紙の一覧作成をすることをオススメします。CMSを使い慣れている人でないと機能要件一覧の作成は難しいため、実務で利用している人が必要な項目をリスト化していくと良いでしょう。CMSの機能要件一覧は、懇意にしているWeb制作会社があれば、テンプレートをもらっても良いかもしれません。システム開発に長けているWeb制作会社であれば、所持しているはずです。
6.サーバーの機能要件(セキュリティ対策含む)
どのようなサーバーの機能を希望するかをRFPに書きます。 現状のサーバーをそのまま利用するのか、新たにサーバーを設置するのかによって、要件は大きく変わってきます。もし、現状のサーバーをそのまま利用する場合は、そのスペックによって提案できるシステムが変わってくるので、サーバーのスペックの詳細を記載する必要があります。
昨今は、サーバーも含めて刷新してしまう場合の方が多くなっています。Webサイトのシステムは、サーバーの中で動いているため、もしシステムが変わる場合はサーバーも変更をせざる得ない場合がほとんどだからです。
7.詳細見積
見積りに関しては、細かく項目ごとに出してもらうよう要望しましょう。そのWeb制作会社がどこにお金がかかると考えているのかがわかります。また、詳細を書いてもらうことにより、想定よりも見積価格が高かった場合は、不要な項目の削除を申請することが可能です。
RFP(提案依頼書)の構成要素3.RFPに組み込むべき補足ポイント
1.年間保守・運用の要件と見積り(必要であればサーバー費用も)
システムが入っている場合は、きちんと保守契約を結ぶことをオススメします。不具合が発生した時のヘルプデスク体制やバックアップ対応等も重要です。昨今のWebサイトは即時性と正確性が必要になるため、何かあった時に技術者に相談が出来ないとWeb担当者としての責任を果たしていないことになってしまいます。
また、システムだけではなくサーバーも提案してもらう場合は、より事細かに保守運用サポートの内容を決めておく必要があります。以前はオンプレ(サーバーが物理的に置いてあること)サーバーが多かったのですが、最近ではクラウドサーバーが主流です。クラウドサーバーを提供しているホスティング会社は24時間365日稼働している必要がありますが、機械なので故障したり、サイバー攻撃を受けたりする場合もあります。そうした時に備えて、サーバーとコンテンツを保守・運用をする業者がどういった対応をとるのか、事前に取り決めておきましょう。
2.制作・開発時の社内体制
Webサイト制作のプロジェクトとは、短くても3ヶ月程度、長いと1〜2年に及ぶこともあります。長い期間一緒に仕事をするために、双方をつなげる窓口となる人やプロジェクトの責任者は大切な存在です。責任者とその下のチーム体制を明確にしておいた方がよいでしょう。可能であれば、そのメンバーの制作実績を提示してもらった方がより安心できるかもしれません。
3.システム(CMS)の操作説明方法
システム(CMS)の操作方法説明は、近年増えつつある項目です。新しいシステムを導入しても、それを正しく利用できないと意味がありません。CMSを新しくした場合はCMSの操作説明会を実施してほしい旨を記載しておかないと、開発後に別料金となってしまう可能性もあります。何名のスタッフに対して何回説明会を実施してほしいという具体的な内容を記載しておいた方が良いでしょう。操作マニュアルの作成だけではなく、そのマニュアルを見ながら説明会を実施してもらい、よりスムーズに新しいシステムの利用をスタートできると尚良いです。
4.会社案内と主な制作実績
Web制作会社の選定には、会社の設立年数や実績をきちんと見ておくべきです。得意としている業界や業種、CMS等のシステム面でどんな実績があるのか提案書に含めてもらいます。デザインやコーディングができるWeb制作会社はたくさんありますが、システム面になるとサーバー周辺も含めてしっかりと対応できるところは少なくなったりするので、よく確認しましょう。
5.参考サイト(任意)
参考サイトをRFPに記載するのには2つ意味があります。1つ目は「競合他社を伝えること」、2つ目は「デザインの好みを伝えること」です。
1つ目は、会社として一番ベンチマークしている競合他社はどこなのかを伝えることで、より自社に合った提案をしてもらうことができます。自社のことをより深く理解してもらうことが、良い提案をもらうためには必要です。
2つ目の、デザインの好みを伝える場合は注意が必要です。そのままのデザインになってしまわないよう、複数のサイトをピックアップするか、自社の他の販促物などがあれば、それも参考として渡す方が良いしょう。
6.注意事項(任意)
いわゆる注記事項です。たとえば「一緒にプロジェクトを引っ張ってくれるかどうかを重要視したい」「リニューアル後の保守やマーケティング提案もしっかりとしてくれるところにお願いしたい」など、業者選定の上で自分たちが重要視したいところや懸念点を伝えておきましょう。
まとめ
今回は正しいRFPを作成するにあたって、「全体概要」、「提案要件」、「補足ポイント」のRFPを構成する重要なポイントを3つに分けてお伝えいたしました。RFPはWebサイトの制作を依頼する側にとっても制作会社の適切な情報を得るために必要なツールです。まずは、自社で制作に関する要件をしっかりと定め、そのうえで制作会社からどんな情報が必要かを今回お伝えしたポイントと照らし合わせながら作成を行っていきましょう。
この記事の著者
ITRA株式会社
官公庁や大手企業を中心とした大規模なWebサイトを総合的にプロデュースするWeb制作会社。デザインからシステム、サーバーまでWebサイトに関わるお客様の悩みを解決します。