RFP(提案依頼書)で最適な発注先を探す!依頼から契約までのプロセスを解説!
Webサイトをリニューアルしたいとなった際には、もちろんWeb制作会社にお願いをすると思います。しかし、Web制作会社は多種多様かつ膨大で、デザインが得意でシステム構築が苦手だったり、逆にシステムが得意でデザインが苦手だったりするなど様々です。この中から自分の会社にとって、本当によい発注先を探すのは並大抵のことではありません。そこで、有効なアプローチとなるのがRFP(提案依頼書)の利用です。本記事ではRFPの概要説明、メリット、依頼から契約までのプロセスなどについて解説を行っていきます。
目次
- RFPの概要をおさらい
- RFPを提示することのメリット
- RFPで意識するポイントと項目
- RFP作成までの流れ
- RFPを提示するWeb制作会社の選び方
- RFP提示から契約までのプロセス
- RFP提出時に伝えておくべき点
- まとめ
RFPの概要をおさらい
RFPとはrequest for proposalの略称です。要するに、提案依頼書を指します。Web業界で働く人にとっては、RFPは当然のように使われる有名なキーワードですが、全体でみると聞いたことがない人も8割弱いるといわれています。Webサイトのリニューアルをしたいときには、Web制作会社に依頼するのが一般的でしょう。そのときに、具体的な提案を求めるための仕様書がRFPです。
Web制作会社はRFPを参照して見積もりやデザイン、簡単なシステム設計などを作成し、お客様に提出します。この提案書を元に、契約の締結や配達先の決定を実施するのです。RFPに決まった形式はなく、種類は多岐に渡ります。RFPの種類は大きく分けると提案依頼書、提案要請書、提案要求書などがあります。
RFPを提示することのメリット
RFPを提示することによって、依頼内容を具体的に伝えることが可能です。依頼内容がしっかり伝われば、開発提案は現実に近いものになりますし、価格も妥当な提示になりやすいでしょう。要望するシステムが明確になれば、最適なITベンダーを選択できます。また、事前にこちらの情報を提供しておけば、開発が始まってからトラブルが発生するリスクを下げることが可能です。
中小企業などとやり取りをしていると、依頼内容が不明瞭なケースもよくあるでしょう。また、馴染みの業者であれば、あまり細かいことをいわないのが、暗黙の了解になっていることがあります。しかし、いくら気が置けない業者が相手でも、曖昧な交渉は禁物です。現代のシステム開発はとにかく具体性が大事になります。システム開発は技術発達の影響もあり、可能な限り短い期間で終わらせることが求められるのです。少ない工数で作業を終わらせるためにはユーザー側と開発側の意思疎通がとても重要になります。サーバー、ネットワークの運用などを考慮した提案も考えなくてはなりません。
複数の開発会社から提案が欲しい場合も、RFPは役立ちます。口頭でアバウトな打ち合わせをしてしまうと、依頼内容に差分が出てしまいがちです。RFPを利用すれば、均一のフォーマットになりますので差分が明確になるでしょう。
RFPで意識するポイントと項目
Webサイトに関するRFPにおいては、記載しておきたい項目がある程度決まっています。
経緯・趣旨・方針
RFPを送付することになった経緯やRFPの趣旨は最初に明記しておく方がよいでしょう。 Webサイトを構築するうえでの会社の方針も重要事項です。会社として方針があるなら、それを漏らさず伝え、要望に即した提案を実現しましょう。Webサイト構築方針を特に持っていないのであれば、Web制作会社から構築方法を提案してもらうことも可能です。
抱えている課題
現状抱えている、経営面や業務面の課題は隠さず伝えましょう。Web制作会社には課題の内容にそった提案をしてもらうべきです。
現実的な要求
機能要件は理想型である「To-Beモデル」ではなく、現実型の「Can-Beモデル」を選択するようにしましょう。「To-Beモデル」は部門ユーザーの要求を一挙に実現しようとするため、開発コストが膨らみ過ぎるリスクが考えられます。一方、「Can-Beモデル」であれば、要求内容に対しての優先順位や業務プロセスの関係性を考慮するので、効率的な開発ができるでしょう。
導入要件を上手くまとめるにはコツがあります。「When(いつ)」、「Who(誰が)」、「What(何を)」、「Where(どこで)」「How(どうやって)」の「4W1H」を意識しましょう。この観点で説明できれば、まとまりがよくなり、いいたいことがはっきりします。ただし、内容があまりにこちら都合になってしまうと、相手からトレードオフを要求されることがあるので、注意しましょう。
CMS 周辺システム・データの連携方法や連携頻度
CMSなどのシステムを構築する場合には、周辺システムとのデータの連携方法や連携の頻度を明確にしたインターフェース要件も忘れず記載したい項目です。サーバー、OS、セキュリティの種類などは細かく列挙しましょう。導入するCMSが自分の会社の環境に合っていなければ、よいCMSやシステムを作ってもらったとしても使いづらくなるでしょう。
情報開示範囲・秘密保持契約
情報開示範囲および秘密保持契約はコンプライアンス的な意味で必須となります。RFPを送付するということは、こちらの機密情報を少なからず開示する行動です。情報をどこまでオープンにするのかを決めておき、重要度が高いものについては秘密保持契約を交わさなくてはなりません。
WebMedia参考記事
Webサイト制作における基本契約・個別契約・NDAの注意点
https://www.itra.co.jp/webmedia/agreement_base_personal.html
Web制作会社を選定し、仕事を始める際に交わすことになる業務契約書。Webサイトの制作プロジェクトで関わる契約書は主に「...
RFP作成までの流れ
RFP作成をする際にはまず、社内で必要とされているおおまかな企画をまとめます。システム構築の規模、スケジュール、コストなどを考慮して決めることになるでしょう。並行して、どこの部署が主管となるかを選定します。企画が決まったらプロジェクトチームを立ち上げ、メンバーの選定を行いましょう。プロジェクト・オーナー、プロジェクト・マネージャー、それを補佐するメンバーなどをアサインします。プロジェクト・オーナーは主管する部署のなかで意思決定の権限を持っている人が務めるようにしましょう。プロジェクトチームは会議などを通して、情報のとりまとめを行い、RFPを作成します。
RFPを提示するWeb制作会社の選び方
Web制作会社を選ぶ際には、まずは実績を確認し、理想としているWebサイトのデザインのWebサイトを作れているのか、また構築しようとしているシステムの経験があるかどうか、CMSを入れる場合はCMS構築経験の有無などを元に商談したいWeb制作会社を探していきます。 例えば、Web制作会社はデザインは苦手でシステム構築に強い場合と、逆にデザインには強いけれどシステム構築は苦手な制作会社がほとんどです。構築したいWebサイトはデザイン重視なのか、もしくはシステムを重視したいのか、それともデザインもシステムも両方重視するのかを明確にしたうえで、Web制作会社を選定しましょう。
ただ、昨今のWebサイトの傾向としてCMSなどのシステムを入れたいし、デザインもこだわりたいという企業が増えています。デザインもシステムも両方こだわりたいという企業には、できるだけシステムからデザインまでできる制作会社にお願いをした方がワンストップで対応してくれるので、おすすめです。
RFP提示から契約までのプロセス
発注先候補として選定したWeb制作会社へRFPを提示したあとは、状況に応じてITベンダーからの質問にも対応します。各ベンダーに提案書を提出してもらい、比較や評価を行っていきましょう。提案書の内容は隅々までチェックし、RFPを評価軸とします。評価するメンバーは1人だと見方が偏ってしまうので、望ましくありません。評価は複数人で実施し、多角的な視点で確認できるようにします。各ベンダーの優劣を明確にする必要があるため、点数や順位付けなども行うようにしましょう。
提案書だけで決めるのではなく、Web制作会社の担当プロジェクト・マネージャーにプレゼンも実施してもらった方がよいでしょう。契約をする前に、プロジェクト・マネージャーのスキルや人間性は確認しておきたいところです。提案書に関する質問を積極的に行い、不明瞭な点ははっきりさせていきましょう。提案書と同じように、プレゼンに関しても点数や順位は付けていきます。提案書とプレゼンの評価合計、および見積額を照らし合わせて、発注先となるWeb制作会社を決めて契約が成立します。
RFP提出時に伝えておくべき点
RFPを提出するタイミングでWeb制作会社に対し、プレゼンテーションの日程や提案書の提出期限を知らせておく必要があります。期限はプロジェクトの規模次第ですが、RFP提出から1カ月程度が目安です。また、RFPの内容について質問があった場合の問い合わせ方法も明確にしておきましょう。大抵のことはメールや電話で対応できますので、問い合わせ窓口のメールアドレス、電話番号は必ず伝えるようにします。
また、Web制作会社から適切なプレゼンテーションをしてもらうためには、いきなりプレゼンテーションをしてもらうのではなく、事前にヒヤリングの場を設けることも重要です。 プレゼンテーションや提案書の検討結果の提示日目安も決めましょう。複数のWeb制作会社に依頼している場合には、比較検討の時間や社内関連部署の調整が必要になります。
RFPに入れるべきポイントを細かく知りたい方は、以前の記事をご参考ください。
まとめ
RFPにはメリットが非常に多いです。なかなか適合するベンダー企業が見つけられないのであれば、RFPを積極的に利用してください。こちらの依頼内容を具体的に表現できますし、ベンダー企業ができることも明確化されるでしょう。RFPのプロセスをしっかりと理解し、有効活用できれば、自社にとって最適なITベンダーを見つけやすくなります。
とはいっても、RFPを作るにあたってWebサイトやシステム、サーバーの知識や経験がないと少々難しく感じると思います。
Web制作を行っている弊社ITRAではRFPの作成からサポートを行っておりますので、お気軽にお声がけください。
この記事の著者
ITRA株式会社
官公庁や大手企業を中心とした大規模なWebサイトを総合的にプロデュースするWeb制作会社。デザインからシステム、サーバーまでWebサイトに関わるお客様の悩みを解決します。